敗北者のブログ

長年生きて来たぢぢぃの独り言

おデート(過去ログ)




ねぇ、・・・・・

今日は、・・・・・

手を繋いで歩くって・・・・・


恐る恐る差し出した左手が彼女の目の前で、戸惑いながら握手をする相手を探していた。


長い長い3秒の間に、彼女の表情が見る見る内に変化して行くドラマが、目の前で繰り広げられていた。


しまった、左手を差し出してしまった。

いや、このシチュエーションならば、まさか敵意になんか受け取りはしないよな。

そもそも、彼女がそんな意味を知っているとも思えなかったし、

それに俺は、はっきりと手を繋いで歩こうと言って左手を差し伸べたのだから、この誘い方は間違ってはいないはずなんだ。


なのに、何でなんだ。

どうしてなんだ。


彼女の表情に戸惑いが感じ取れる。

ん?嫌なんだろうか?

ダメなんだろうか?

俺は、俺が思っているほどに彼女には好かれていないのだろうか?

いやいや、告白をしてくれたのは彼女の方だったし、今日までのデートでも楽しそうに、嬉しそうに一日を過ごして来ていたはずなんだ。

彼女は俺を好きなんだ。

そこは間違えてはいないはずなんだが、、、


手を繋ぐって行為は、こんなにもハードルが高かったっけかな?

こんなのは、いちいち言葉に出さずに、彼女の許可なんか取らずに、極自然にさっと手を取って引っ張ってしまえば、既成事実として成立しちゃうんだろうな。


彼女の表情の変化を読み解きながら、ぐるぐると思考を巡らせていた3秒間だった。




事の結末は、3秒後に意外な結末で訪れた。


あっ、私は、こっち側で、こうして歩きたいな。


そう言うと彼女は、俺の右側に寄り添うようにぴったりとくっ着いて来て、右腕を抱くように包み込んでくれたのだ。


えっ!あっ!

成すがままに右腕を預けてしまったまでは無意識の無抵抗だったのだが、そんな体勢に落ち着いてしまってから、ふと冷静に、今自分の置かれている状態を俯瞰してしまったのだった。


一瞬にして訪れるパニック。



だってだって、只でさえ、

仲間内ではダントツ高嶺の花の激可愛の彼女が俺を好きなんです。などと告白をされた上に、舞い上がったまま図に乗っての3回目のデートに誘ってはみたものの、

食事とウインドーショッピング、2度目は映画と絵に描いたような正統派的なデートを重ねて、

彼女の意思を再確認しないままに、当たり障りのない時間を過ごして来ていた。


今回もまったくもって、王道と思われる遊園地へと誘い出し、彼女の意思の再確認をするのが恐くて恐くて、手を繋いで貰う事すら躊躇ってしまっていた俺だったのに。




いきなりのベッタリ攻撃だった。





後日、二人の仲がやや安定し始めた、付き合い出してから数週間が過ぎた頃に、彼女が話してくれた後日談なのだが。


バレンタインに、私が顔から火を吹きながら一生懸命になって言葉にした告白なのに、それに対する俺の気持ち、応えを貰えずに、宙ぶらりんな距離を保ちながら、ご飯を食べたり、買い物したり、一人と一人な関係で映画を観てたりと、俺の意思が掴めずにやきもきしていたらしいのだった。


そこへ来て、いきなり手を差し出されたので、これはOKだよ。付き合おうよ。のGOサインに決まってる。

と、一気に舞い上がっての行動だったらしいのだ。




右腕をクルンと両手で包み込むように抱え、肩に頬を寄せるように寄り添ってくれる激可愛な彼女。


右腕全体に伝わってくる彼女の温もりよりも何よりも、上腕外側にはっきりと伝わって来る柔らかな膨らみの誘惑。


位置的に手の甲が、正に禁断の果実に挟まれそうな場所ギリギリで留まっている。


いやいや、これはマズイ。



彼女から告白されてからと言う日々は、あんな事やらこんな事やらと、いかがわしい妄想ばっかりを巡らせて、イヤらしい想像ばっかりを募らせてしまっていた。


それが今、・・・・・




それから二人は、お決まりの観覧車に乗り、メリーゴーランド、コースターやお化け屋敷を順当に巡りながら、






帰り道に、




始めてのキスを交わして、





めでたし、めでたし。

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