消去
一つ一つ、 思い出を、 痕跡を、 写真、 LINE、メール、DM、 サムネ、番号、 笑顔、泣き顔、 記憶までも、、、
だからなに?
何を隠そう、俺は甘党である。 しかし、酸っぱい果物は余り好まないのである。 よって、甘党のスタンダードである苺のショートケーキを食べる時には、ついつい苺を避けてしまったりする。 特にこの時期のケーキ屋さんのケーキに使われている苺は、見目麗しきお姿をしていながらも、固くて酸っぱかったりするのが、どう... 続きをみる
ありがとう
「ありがとう」 その言葉は、 余りにも気軽で 薄っぺらだけど、 それを 何度も吐き捨て合うしか お互いの気持ちを 言い表すべき素直な言葉が 見つからなかった。 溢れ出るあらゆる気持ちは、 全部その言葉でしか 表現できなかったんだ。 さよならすらも 「ありがとう」としか 言えなかったんだ。 簡単で薄... 続きをみる
堕天使
もし本当に神様ってぇ~のが いらっしゃるのなら 言ってやりたいことがある。 冗談じゃねぇ~ぞこのヤロー! 俺の人生こんだけの 怒りと哀しみだらけに溢れさせ なにしやがるんだアンタはよぅ。 もしここで、 死んでアンタの元に召されたら 俺はアンタを許さない。 胸ぐら掴んでグーパンチ 拳が潰れるまで見舞... 続きをみる
指切り
跡形もなく 燃え尽きてしまったんだと、 誰かが私を諭してる。 そんな筈はないと、 心の何処かで 救いを求める様に願ってた。 指切りの小指が絡まった時に 息が止まる様な口づけを 見舞われた私には あの約束がまだ生きていると 今でも信じて止まない。 あの時に目を開いて 瞳を見つめていたら、 その真実が... 続きをみる
an actor
でも、終わりの時って、 案外こんなもんなんだろうな、、、 想像していた様な修羅場もなく、 ネチネチとしたねちっこさもなく。 あっ、そうなんだ。 と、妙にあっさりとさっぱりと。 いや、長過ぎていたから、 心の軋む機微までもが見えて、 辛いんだろうなぁ~、、、 なんて覚悟をしていたのに、 逆に、 長過... 続きをみる
あら?フォー!
こんな下らない生き方をしていると、色々な物事の判断に迷う事が頻繁に出て来てしまうので、なんとなく常に何かに追われてさ迷っている気がするんだ。 スッキリと晴れ晴れした気持ちには、なかなかなれないでいるのが現状だな。 とは言え、常に思考力が正常に回転している分けではないので、ぼんやりとボヤボヤしている... 続きをみる
二日目
とろりと流れ出す二日目は、 ボルドーの赤が良く似合う。 真っ赤な鮮血と鮮やかに澄んだ赤。 開いたままの両脚の 耳朶を摘まんで広げれば 流れ出す苦しみ月の赤い涙。 鉄の香りと混じり合う、 ボルドーの日溜まりの香り。 今月も迎えた 当たり前の生理日を、 食卓の上で余す事なく 披露する君。 恥ずかしげの... 続きをみる
ヤバい女
あなたの口から、 私の知らない女の名前が出ただけで、 気になって仕方なくなるのね。 その名前が何度か繰り返し 出てきたりしたら、 凄く落ち込んでしまうんだよ。 今、話している話の内容なんて どうでもよくなって、 その女の正体を 知りたくなってしまうのね。 あなたとの関係を、 詳しく根掘り葉掘り尋ね... 続きをみる
グズ
こんな時に、 そんなに優しい 良い人になんてならないでよ。 こんな時に、 そんなに私の想い出を 美化する様な真似しないでよ。 今泣き出したら、 私はもう何も出来なくなる。 私を泣き止ませるのは もうあなたじゃないんだから その優しさは 凶器と同じだわ。 その言葉に、 すがれなくなった自分は あなた... 続きをみる
抱きてぇ~っ!
こんな事を書いてしまうと、痴漢や暴漢の類いなんじゃないかと疑われそうな気がするけど、、、 そんな事はしませんよ、なんせ俺は小心者ですから。 世間の隅っこでチマチマ生きているちっちゃなゴミ虫なんですからね。 なんの係わりのない他人に対して何かのリアクションをいきなり起こす様な真似など出来る様な度胸も... 続きをみる
負けてるよ。
あなたが好き。 私のこの気持ちは誰にも負けないよ。 その気持ちを比較する相手を誰も知らないからこそ、彼女はその言葉を真っ直ぐに俺に投げつけられたんだと思った。 一時の一途な感情から言えた言葉なのだろうとその時の俺は深く考えずに受け止めていたんだ。 その気持ちを言い表すのに愛していると言う言葉を選ら... 続きをみる
スイッチ
虐めてるのに、なぜ? 苦痛に歪んだ眉間や目元から、 ある時を堺にふと力が抜けて、 普段には絶対に見せない 穏やかに酔いしれた眼差しになる。 その時の眼差しと、 その醸し出す雰囲気、色香が、 俺の心にザックリと 刺さってしまって、 愛おしくて堪らなくなるんだ。 だから、 更にもっともっと強く激しく、... 続きをみる
丑三つ時
午前2時過ぎ、 静かな部屋の中で、 枕の呟きを聞きながら 私はいつになったら 眠れるのだろう なんて考えてる。 いつもなら、 私が布団を独り占めしてないか 気を使いながら、 眠っている時間帯なんだろうな。 本当に気を使ってるんだからね。 だけど睡魔には勝てなくて 気持ち良く ついつい先に眠ってしま... 続きをみる
立枯紫陽花
いくらどんなに考えてもこたえなんてものは何処にもありはしなかったし、誰も教えてくれなかった。 それでも、そのこたえを知りたくて、理解をしたくて、納得したくて、更には自分の物にしたくてもがきながら探し回っていたんだ。 今年もまた紫陽花の花が咲き出してしまった。 兎に角、終わらせるべきものは終わらせる... 続きをみる
砂を噛む
今頃は何をしているんだろう。 その暮しぶりを知り尽くしていると、 この日のこの時間には、 何をしているのかが、 手に取る様に想像できてしまう。 けど、 それは僕と暮らしていた頃の 僕の為の君のだったんだよね。 脱け殻になったあのリビングで、 向かい合う相手のいなくなった テーブルには、 砂糖もミル... 続きをみる
俺は、ただ、、、
最初の頃は彼女も、俺に家族がいると言う事に後ろめたさを感じていたのだろう。 会社帰りに、週に1~2回程度、3~4時間の時間を割いて、当時の彼女のアパートにまで足を運び食事に誘い出していた。 そうでもしなければ当時の彼女の生活の中には、部屋から外出する事と言ったら自分の食事の材料を買い出しに出るだけ... 続きをみる
屍に立つ
静かな哀しみに縛られて、 身動きが出来ずに 吐き気を堪えている。 忘れるのではなく、 思い出の全てを受け入れて、 繰り返しトレースして、 哀しみ尽くす。 泣いて、泣いて、泣いて。 心が、涙が、時が、 枯れ果てるまで うずくまり吐き散らかして また泣いて。 それでも、尚も 解けぬ哀しみの呪縛からは ... 続きをみる
そこにいた彼女
仏壇に上げたお線香の灰が、 くるんと丸まりながら、 燃え繋いでいる。 それは仏様が喜んでいる 記しだと、 何処かで聞いた覚えがある。 遙々と遠い港街の外れまで 長い時間を掛けて 始めて訪れてみた。 あれから三年。 忘れる事も出来ず、 亡くなった事実からさえも 俺は目を背けていた。 何度も聞いていた... 続きをみる
リング
堅く握り締めた拳の中には、 飾り気のない 細いシルバーのリング。 ある日、なんの前触れもなく、 突然にポストに投げ込まれた 訃報を知らせる手紙の中に、 無造作に、 同封され送られて来た。 昨年○月○日に逝去されました。 失礼とは存じますが、 故人の意思に従い 同封させて頂きます。 指輪が凍り付くよ... 続きをみる
あゆみん 3
俺は、一度好きになった女は、 滅多に嫌いにはならない。 一度、愛したら、 その心や気持ち、内面を 好きになっちゃうから 外見が気にならなくなるのかな。 だって、愛してる人が、 もしも、万が一、 交通事故や病気で 変わり果てた姿に なったとしても、 愛してる事に変わりはないから。 それは、何十年の時... 続きをみる
あゆみん 2
「ねぇ、良かったらで良いんだけどね、 本当に、嫌だったら断っていいんだから ね、こんなになっちゃった女になんか、 なんの価値もないのは解ってるから」 卑下にしか聞こえなかった言い訳に、 妙に腹が立った。 昔とは言え、自分の彼女だった女が、 誰にでも自慢出来た彼女だった女が 今では、価値のない女なん... 続きをみる
あゆみん 1
もう数年前の話しです。 会社の用事で、会社近くの銀行に 行った時の事。 窓口で手続きをして貰って居る間の 待ち時間に、3~4人掛けの椅子に 座っていると、 一人分を空けない程度の間隔に 一人の、いかにも場末の飲み屋に 居そうなおばさんが腰掛けたのだった。 俺は、特に気に掛ける事もなく、 床に視線を... 続きをみる
その名は。
先ほどテレビを視ていたら、とある大物お笑い芸人が、工業高校の機械科卒業だと自分の事を卑下するような発言をしていたんだ。 そっか、工業高校の機械科ってのは一般常識的には恥ずべき経歴なんだよなって、改めて心に留め置く事が出来た言葉だった。 時代背景としては、その芸人さんよりは遥かに昔の、暴走族が全盛期... 続きをみる