敗北者のブログ

長年生きて来たぢぢぃの独り言

サキュバス




マンションの入り口までは、色々な物事を考えていた様な気もしていたし、或いは、これから何をするのか、俺はどうして拉致られているのか等は全く何一つ考えずにすたすたと引っ張られて来てしまった様な気もしていた。


入り口の前に到着してみたら、腰を後ろに反らさなければ天辺が見えないほどの高さのある、高層マンションがそびえ建っていた。

タワーマンションと言うほどではなさそうだったが、まぁ大会社ではあるが役職名の付いていない、いわゆる平社員の高が知れている給料ではとても住めるような佇まいでなない事は確かだった。


大きく重厚なエントランスの自動ドアが音もなくゆっくりと開いて行く。

その何とも言えない高級感とその前でスッと立ってドアが開くのを待っている彼女の立ち姿が絶妙にマッチしていて、彼女がここの住人である事に妙な納得をしてしまっていた。


彼女のあの出で立ちが、この入り口のエレガントさを更に引き立ていた。




俺は「綺麗な女性だなぁ」と、

無意識の内に言葉に出してしまっていた。


それに比べて、今の俺ときたら、

ふと我に返ってしまった俺は、ここまでに経て来てしまった経緯を省みて、今自分が置かれている立場に改めて思考を費やし始めたのだった。


「俺ごとき分際が、ここを通る事がゆるされるのか?」

俺は豪華できらびやかな入り口と彼女の優雅な立ち姿に完全にビビッていた。

正に住む世界が違う。


手入れを怠っている雑草だらけの泥土を踏み分けて歩くと、朝露が靴先を濡らして染みを作るんだ。

バッタが驚いて逃げ惑い、かな蛇がチョロチョロと走り回り、蟻ん子が我が物顔で行列をなして脚の踏み場を選ばされてしまう。

そんなど田舎から涌き出て来た、小汚ないサラリーマン風情が、こんな重厚で立派なマンションなんかに足を踏み入れても良いのだろうか。


おしゃれなファッション雑誌の巻頭カラーを飾るトップモデルさえも霞んでしまいそうな、現実離れした優雅さを纏った彼女がニコニコしながら手招きをしている。


もしかしてここは、宇宙から飛来したUFOなのではないか。


俺は何処に足を踏み入れ様としているのだろうか。


余りにも現実離れしているこの世界観に思考が付いて行けなくなり、

俺は夢遊病者の様に彼女に従って、マンション内に足を踏み入れたのだった。







結論から言ってしまえば、俺は彼女に犯されてしまった。

俺の意思などお構い無しに彼女は自分の本能に赴くままに俺の体を利用して快楽に浸っていたんだ。






そう、彼女は美人だったし、非の打ち所のないスタイルをしていた。

言ってしまえば、昔々に海外で有名だった雑誌のプレイボーイの巻頭カラーを飾っているモデル体型をしていた。

見た目、そんな現実離れした美の象徴の様な女性がその体を擦り寄せて来てしまったら、それを拒める男なんかはこの世の中にいやしない。


俺は仕事に追われて、連日の深残業続きで家にも帰れずに慢性的な睡眠不足と不規則で不十分な食事環境などが積み重なり疲労困憊していたんだ。






頭髪の毛量は多めである。

毛髪の太さも女性にしては太めなんだと思える。

その為だからなんだろうか、やはり黒髪の黒の深さと落ち着きのある艶の輝きには、触れる事に躊躇いを感じていまうほどの繊細な美しさが宿っている。


そんな印象からだろうか、当たり前に彼女の陰毛も黒々として濃いはずだと決めつけてしまっていたんだ。

それが、全くの無毛。

ぶつぶつとした毛穴の跡も見当たらない。

お腹から続く肌目の細かい滑らかな肌のままで、小高い恥丘を経て栗のフードに至っている。

更には、その下に控えている花びらが、その暴力的な体型からは想像だにしなかった可憐な出で立ちをしている。

それはまるで、全く汚れを知らない十代のティーンの陰部そのもの。

粘膜の肌の質感が、顔にある唇の如くにぷるんと張りがあって、ともすれば、そこから前歯が覗きそうな位の美しいピンク色を誇りながら合わさっている。

なんと言う清楚な生殖器をしているのだろうか。


ちょっと気が強そうで、いかにも勝ち気な印象を感じさせる美しい顔立ち。

出っ張り過ぎを支えているクビレはしっかりと悩ましく細く。

その下に続くまあるく巨大に感じられるヒップ。

このサキュバスの悪魔的なボディーの持ち主の生殖器はもっとおどろおどろしく汚れた、どす黒い裂け目であって欲しかった。






男とは実にけったいな生き物で、疲れ果てている時など己の生命の危機を悟った時に、その本能として、残された最後の気力を振り絞って、自分の子孫を遺すべく、子供を孕ませたい女に対して異常な性欲を剥き出しにする事ができるのだ。



俺は彼女が体勢を変える度、その手足や身体の位置を動かす度に、彼女がしたい事、やりたい事、されたい事、して貰いたい事の欲求が手に取る様に伝わって来て、見事にその欲求の凹凸をタイムラグなしに合致する事が出来ていた。


俺は俺で彼女の意に沿って求めている部分的欲望を宥める様に治める様に一つ一つ摘み取っては鎮めて行ったんだ。

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