敗北者のブログ

長年生きて来たぢぢぃの独り言

写真が、




写真ってさ、真を写すって書くでしょ。


俺は風景はあんまり撮らないんだよね。


屋外の景色って、光に紫外線とかが混じってて見ている色彩が忠実に残せなくて、

かと言ってフィルターを使うと逆に不自然に綺麗に撮れたり、

雄大な景色の切り取りが上手に出来ないから、景色の主役が何なのかが表現できないんだよね。


その点、ポートレートは人の顔にピントさえ合わせてシャッターを押せば、

カメラが勝手に数百分の一の瞬間の表情を捕らえてくれる。


カメラが捕らえるのは、自分が撮りたい表情じゃなくて、撮りたい表情をした瞬間の、たった数百分の一秒の切り取りで、自分が捕らえたかった相手の顔じゃないんだよね。


つまりは、偶然の産物だよね。


ただね、その一瞬にだって被写体の心は継続的にその時の感情を現していたりするんだよね。


笑ってるはずの笑顔を撮影した積もりでも、それが、デートの帰り道だったりすれば、なんとなく寂しさが写ったり、山歩きで疲れてる時に無理した笑顔には疲れが写ってたりするから不思議だよね。


カメラって機械はシャッターを押している撮影者の撮りたい気持ちと、撮られる側の被写体が、シャッターを押して撮影してる相手との人間関係や心情や気持ちを写し出してしまう魔法の道具なんだよね。


んだから、好きじゃない相手の笑顔を撮ろうとしてもちゃんとした笑顔は撮れないし、逆に出来上がった写真を見れば撮影者と被写体との気持ちが写ってたりするんだよね。





昔のカメラって言うか、写真って言うのは、カメラのシャッターを押した瞬間の映像をフィルムに写した物をプリントしたから、色や明るさは調整出来ても、輪郭や表情はそのままでしか残せなかったけど、

今の時代は、顎のラインや瞳の大きさ、髪型や表情なんかを自由自在に加工できてしまうんだよね。


てかさ、原型を留めないで色んな部分を継ぎはぎするコラージュなんかもあるから、わざわざ丁寧に絞りだのシャッター速度だの関係なくなってるんだよね。


24枚とか36枚毎にフィルムを入れ換えしなきゃならないから、シャッターを押すタイミングも慎重に画角を決めたり、被写体の表情を狙ったりして、一枚一枚を真剣に撮ってたけど、今では、メモリー容量次第でシャッターは押しっぱなしで殆んどムービー的な撮影が出来るんだから良いよね。


あっ、目を瞑っちゃった。

なんて失敗がなくなった代わりに、撮らなくてもいい、被写体の闇の表情までも記録したりするんだろうね。

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