日記
見慣れた綺麗で
丁寧な文字が並んでる。
書き著しているのは
二人の生活の出来事。
君らしい視点が
俺を視ていた日常は、
なんて純粋な真心に
包まれていたのだろう。
俺はどうして、
こんなにも溢れていた愛を
棄てられたのだろうか。
手を伸ばせば
指先が斬れてしまいそうな
鋭い上弦の三日月が、
瞳を伝う涙を貯めきれずに、
ほろほろと崩れ出す。
そこになに一つ偽りなどなく、
綴られているのは
紛れもない真実の出来事。
その全てに映像があり、
風があり温度がある。
味が蘇り、声がきこえる。
笑顔が煌めき、
喧嘩さえもが泪を誘う。
余りにも冷たい北風に
冷やされた俺の判断。
踏み出す先の道筋を
細過ぎる月の明かりでは
照らす事すらしてくれない。