敗北者のブログ

長年生きて来たぢぢぃの独り言

どうゆう事?




「お前らみんな揃って、同じ方へ向かって何処へ行くんだよ。

そんなに急いで、広くて何んにもない青空を

あっちに向かって行って何があるんだ?」


うっすらと暖かい砂浜に寝転んで、つい声に出して話し掛けてしまっていた。


海から吹き上げる風には、もう肌を刺す様な冷たさはなく、少し湿った温もりさえ感じられる季節だ。


無造作に寝転んでしまった俺の横には、やれやれと言う顔した彼女がしゃがみ込み、俺の独り言に耳を傾けていた。


「自由だね、あの子達。

まるで誰かさん見たいだよね。」


握られた手の温もりが、嬉しかった。


「俺には、良くも悪くも君がいる。」


「悪くもって、なにさ。」



いつも当たり前の様に傍にいて、それでいて何一つ束縛されている気がしない。

むしろ、傍にいない時には、ぽっかりと漠然とした虚無感を感じて、彼女が傍に居ない不自然な景色に違和感を覚えたりしている。



「雲なんかに話し掛けて、私の事を忘れてはいませんか。」


幾つもの千切れ雲を浮かべた眩しい青空をバックに、覗き込む膨れっ面。


なんだか腹の底から無性に幸せが込み上げて来て、彼女を手繰り寄せてキスをした。



春の終わりの鵠沼海岸。

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