敗北者のブログ

長年生きて来たぢぢぃの独り言

スマホの呪縛


食うに困った痩せ豚は一攫千金を狙って
地べたを嗅ぎまわりトリュフを探し回っております
んなモン見つかるわけなかろ







ねぇ、今何処にいるの?



7コール躊躇ってからスライドさせたスマホ


5秒間の静寂の向こう側から


消え入るような掠れた声が


行き交う雑踏にかき消されてた


胸を締め付けられるような


得も言われぬ感情が溢れ出して


淋しそうな立ち姿と


それに見合った泣き顔が浮かんで


やっぱり出なきゃ良かったと


スマホを握る指先に力が入る





どこにもいないよ。


的外れな返事に「うん。」とだけ


ほんの少しだけはっきりとした返事


そう答えるのが


今の二人を表す適切な言葉




番号さえ知っていれば


何処に居ようとも繋がってしまうスマホ


繋げるか、無視するかの判断は


その場で決めなければならないなんて


なんて残酷なんだろう




出るにしても、出ないにしても


一縷の苦味と後悔が見えてしまう


呪いのような忌まわしさ



どっちにしても痛いんだ




たった一言の声だけだけで


一瞬にして表情が浮かび上がり


切なさに胸が鷲掴みにされてしまう




なに一つ解決してはくれない便利なツール


携帯している事が当たり前の


押し付けられている便利なツール



例えその11桁の数字を


そのスマホから削除しようとも


空で覚えてしまった番号は


簡単には消せやしない


また一度掛け直してしまえば


スマホは確りと履歴という名の


その時の勇気を讃えるかのように


書き残してしまう


なんて便利で


おぞましく未練がましい常識を押し付ける






今、どこにいるの?


どう応えようが


なんの意味も持たない



それ以上の会話には繋がりもしない


不毛な言葉をやっとの思いで絞り出して


苦しみながら否定しても


何を言いたいのかを


手に取れるように伝えてきてしまう


そんな気持ちは知りたくもなければ


そんな事は言われなくても知っている



己の弱さを残酷なまでに


判らせようとする


無慈悲なハイテクのガラクタ







だから、俺は








そっとGPSをONにするんだ











おだてられた豚は、己が偶蹄目であることを
忘れて無謀にもどんぐりの大樹に登ろうとしています。


うける。

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