敗北者のブログ

長年生きて来たぢぢぃの独り言

愛人(過去ログ)




彼女の願いを直視する勇気もなければ、

覚悟もない。


できる事なら想像すらしたくない弱虫は、

無邪気にはしゃぐ笑顔に、

ふとその場から逃げたくもなる。


寄り添い交わる心には、

嘘は纏わないが、

溢れる気持ちの全てを現す事に

躊躇いのブレーキを掛けている。


それ以上に喜ばせ、

期待値を揚げてしまっては

己れの居場所をなくすだけなのは

判っているから、

手加減にはその場に流されない

冷静さが強いられる。


微妙な距離感を

あれこれと保とうと画策しても、

彼女の高揚の気紛れさ加減に惑わされ、

時には睫毛が触れ合うまでの盲目に

見舞われたりもしてしまう。


彼女の心情を見守る位置にまで引き下がり、俯瞰の視野を持って

自分の立ち位置を鑑み様と試みるも、

結局の所、

その俯瞰は、

ただ単に距離を取っただけの

淋しさなだけだったりもした。


素直に言葉を擦り合わせて、

成すべき姿を模索してしまえば、

行き場のない二人が浮き彫りになるだけで、その侘しさの棄て場は、

ただただ身体を激しく重ね合うしかの

遣り場で紛らわすしかなかった。


その行為は答えでもなんでもなく、

その場凌ぎの

確実な逃げ場でしかないのだが、

そこで結ばれる身体の繋がりには

計算などは存在しない。


果てしなく肉欲を貪り喰らい尽くし、

求められるが儘に与え続け、

果てに果て尽くしてしまう関係は、

それをどう飾ろうとも、

認めたくなくとも、

とどのつまりは、

「愛人」と呼ばざるを得ないのだろう。

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